由緒
富岡八幡宮の創建は寛永4年(1627年)に遡ります。社伝によれば、京都の僧・長盛法印が「永代島と呼ばれるこの地に、八幡様を祀るべき場所がある」との神託を受け、相模国(現在の神奈川県)の富岡八幡宮から御分霊を勧請して創建したのが始まりとされています。当時のこの一帯は江戸湾の埋め立てが進められていた砂洲でしたが、社殿の造営とともに門前町が形成され、深川という町の発展の礎となりました。
江戸時代を通じて、富岡八幡宮は「深川の八幡様」として庶民から篤い信仰を集め、「江戸最大の八幡様」とも呼ばれる規模を誇りました。寛永19年(1642年)には将軍・徳川家光の長男(後の四代将軍家綱)の世嗣祝賀の祭礼が執り行われたと伝わり、将軍家からの崇敬も厚い神社でした。
貞享元年(1684年)には、江戸幕府がそれまでたびたび禁令を出していた相撲興行を、春・秋の年2場所に限り境内で開催することを許可しました。これが「江戸勧進相撲」の始まりであり、富岡八幡宮は今日の大相撲発祥の地として知られています。以後約100年間にわたって本場所が境内で開催され、定期興行制や番付制度が確立されていきました。現在は東京十社の一社にも数えられ、江戸の歴史と文化を今に伝える神社として、地元・深川の人々から「深川八幡様」の愛称で親しまれ続けています。
見どころ
富岡八幡宮の境内で必見なのが、大相撲ゆかりの石碑群です。中でも「横綱力士碑」は明治33年(1900年)、第12代横綱・陣幕久五郎の発起により建立されたもので、高さ約3.5m、幅約3m、重さ20トンという圧倒的なスケールを誇ります。石碑には初代・明石志賀之助から現代に至るまでの歴代横綱の四股名がすべて刻まれており、新横綱が誕生するたびに日本相撲協会立会いのもとで刻名式が行われ、土俵入りが奉納される伝統が今も続いています。隣接して「大関力士碑」もあり、境内はさながら大相撲の聖地としての趣を見せています。
境内にはこのほか、日本地図の作成で知られる伊能忠敬の銅像も立っています。晩年を深川に暮らした伊能忠敬は、50歳を過ぎてから始めた日本全国の測量の旅に出発する際、必ず富岡八幡宮に参拝して道中の安全を祈願したと伝えられ、平成13年(2001年)にその功績を称える銅像が建立されました。羅針盤付きの杖を手にした姿で、鳥居をくぐってすぐの場所に立っています。
また、毎月開催される骨董市も見どころのひとつです。境内には多いときで約100店もの露店が並び、掘り出し物を求めて多くの人で賑わいます。隣接する成田山東京別院(深川不動堂)とあわせて、下町・深川ならではの散策を楽しめるエリアとなっています。
参拝のポイント
境内は参拝自由ですが、御朱印やお守りを受けられる授与所は9:00〜17:00の受付です。門前仲町駅1番出口から徒歩3分と非常にアクセスがよく、隣接する深川不動堂とあわせて巡拝する参拝者が多いのもこの神社の特徴です。
境内の見学では、拝殿への参拝はもちろん、横綱力士碑・大関力士碑や伊能忠敬像といった石碑・銅像も見逃せません。骨董市の開催日(毎月1日・15日・28日前後の日曜、詳細は公式サイトで要確認)は境内が多くの人で賑わうため、静かに参拝したい場合は平日を選ぶとよいでしょう。8月の深川祭の期間中は境内・参道ともに大変混雑し、交通規制も敷かれるため、事前に公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
年中行事・お祭り
- 深川八幡祭り(深川祭、8月中旬・本祭は3年に一度):富岡八幡宮の例大祭で、日枝神社の山王祭、神田神社の神田祭と並ぶ「江戸三大祭」の一つ。沿道の観客から担ぎ手に向けて清めの水が勢いよく浴びせられることから「水かけ祭り」の名でも親しまれています。3年に一度の本祭では、氏子各町から50数基もの大神輿が勢揃いし、深川の街を練り歩く「連合渡御」が繰り広げられる壮観な祭りで、次回の本祭は2026年です。
- 新横綱土俵入り奉納:大相撲で新横綱が誕生した際、横綱力士碑への刻名式とあわせて、境内で新横綱による奉納土俵入りが行われる伝統行事。
- 骨董市(毎月複数回開催):境内で開かれる青空骨董市。掘り出し物を求めて多くの人が訪れる、下町・深川の風物詩。
- 初詣(1月):「深川の八幡様」として、江東区周辺から多くの参拝者が訪れる年始最大の賑わい。
周辺のグルメ・観光
- 深川不動堂(成田山東京別院):富岡八幡宮のすぐ隣に位置する成田山新勝寺の東京別院。荘厳な内仏殿や毎日行われる護摩祈祷で知られ、あわせて参拝する人が非常に多い。
- 深川宿 富岡八幡店:あさりを使った郷土料理「深川めし」の名店。ぶっかけ・炊き込みの2種の深川めしを味わえ、参拝後の食事にぴったり。
- 門前仲町商店街:富岡八幡宮・深川不動堂の門前に広がる下町情緒あふれる商店街。人情深川ご利益通りには老舗の甘味処や惣菜店が並び、食べ歩きにも最適。
- 深川江戸資料館:江戸後期の深川の町並みを実物大で再現した資料館。富岡八幡宮から徒歩圏内で、当時の庶民の暮らしを体感できる。
よくある質問
- Q. 参拝時間は?
- A. 境内はいつでも参拝できますが、御朱印やお守りを受けられる授与所は9:00〜17:00の受付です。
- Q. 御朱印はいただけますか?
- A. はい、授与所にて9:00〜17:00の受付で、初穂料500円からいただけます。期間限定で摂社・七渡神社の限定御朱印が授与されることもあります。
- Q. アクセス方法は?
- A. 東京メトロ東西線・都営大江戸線「門前仲町駅」1番出口から徒歩3分と、大変アクセスの良い立地です。隣接する成田山東京別院(深川不動堂)とあわせて参拝する人も多くいます。
- Q. 駐車場はありますか?
- A. 境内に無料の参拝者用駐車場があります(約20台)。ただし午後9時から午前6時までは施錠され、12月31日〜1月3日は利用できません。骨董市や深川祭の開催日は大変混雑するため、公共交通機関の利用がおすすめです。
- Q. 横綱力士碑や勧進相撲との関わりについて教えてください。また深川祭とはどんなお祭りですか?
- A. 富岡八幡宮の境内は貞享元年(1684年)、江戸幕府から春・秋の勧進相撲の興行が認められた「江戸勧進相撲発祥の地」で、以後約100年にわたり本場所が境内で開催され、番付制度など現在の大相撲の基礎が築かれました。明治33年(1900年)には第12代横綱・陣幕久五郎の発起により、初代明石志賀之助から歴代横綱の四股名を刻んだ「横綱力士碑」が建立され、新横綱誕生の際には土俵入りが奉納されます。例大祭「深川八幡祭り(深川祭)」は日枝神社の山王祭、神田神社の神田祭と並ぶ「江戸三大祭」の一つで、8月中旬に開催。沿道から担ぎ手に清めの水が勢いよく浴びせられることから「水かけ祭り」とも呼ばれ、3年に一度の本祭では50数基の神輿が勢揃いする連合渡御が行われます(次の本祭は2026年)。



