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阿智神社

阿智神社

あちじんじゃ・岡山県倉敷市

写真: 江戸村のとくぞう / CC BY-SA 4.0

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由緒

阿智神社が鎮座する鶴形山一帯は、古くは「亀島」「鶴形島」と呼ばれる島で、当時の岡山平野が「吉備の穴海」と呼ばれる海であった頃、この場所は海上交通の要衝でした。社伝によれば、この地の社地はもともと、応神天皇の時代に朝鮮半島から渡来した阿知使主(あちのおみ)の一族が築いた庭園だったと伝えられています。『日本書紀』応神天皇の条には、阿知使主が韓地より17県の人々を率いて帰化してきたことが記されており、後に大和政権で文筆・財政・織物などを担った東漢氏(やまとのあやうじ)の祖とされる人物です。阿知使主の一族はこの地に住み着き、養蚕・絹織・縫製・製鉄といった当時の先進技術を伝え広めたとされ、倉敷の古名「阿知」もこの一族に由来すると伝わります。

神社としての創建について社記は、神功皇后が三韓征伐からの帰途、暗夜に航路を見失われて宗像三女神に祈願されたところ、雷鳴とともに三振りの剣が光を放ちながら天空から降り、この地の巨石群に鎮まったと伝えます。応神天皇の御代、これを「妙剣宮」(後の妙見宮)として祀ったのが始まりとされます。時代が下り、文禄3年(1594年)に近隣の寺院内に祀られていた妙見宮を現在の鎮座地へ遷座し、元和6年(1620年)に社殿が造営されました。明治2年(1869年)の神仏分離により「阿智神社」と改称され、それまでの妙見信仰に代わり、海上交通の守護神である宗像三女神(多紀理毘売命・多岐都比売命・市杵嶋比売命)を祀る神社となりました。現在も相殿には応神天皇・伊邪那岐命・伊邪那美命・天照皇大神・素戔嗚尊・大己貴命・事代主命など19柱の神々が祀られています。以来、美観地区を含む旧倉敷27ヶ町の総鎮守として、地域の人々から篤く崇敬されてきました。

見どころ

境内には「鶴亀様式」と呼ばれる古い庭園の様式が残り、天津磐境と称される磐座(いわくら)をはじめ、陰陽の石組みを配した斎館前庭など、阿知使主の一族が築いたと伝わる庭園の面影を今に伝える石組みが点在しています。地元の観光案内では、この石庭を「日本最古の神仙蓬莱様式」と紹介するものもあり、古代からの信仰の古さを物語っています。

本殿北側にある藤棚「阿知の藤」も見逃せません。あけぼの藤という品種としては日本一の大きさ・古さを誇るとされ、樹齢は300年から500年と伝わる古木で、昭和31年(1956年)に岡山県の天然記念物に指定され、現在は倉敷市の市花にもなっています。一時は枯死の危機に瀕したこともありましたが、樹勢回復事業により見事な花を取り戻し、例年4月下旬から見頃を迎えます。

随身門には兎(うさぎ)の彫刻が施されており、この意匠は限定の御朱印帳にも取り入れられるなど、参拝者に親しまれています。また境内の絵馬殿は懸造(かけづくり)と呼ばれる崖に張り出す建築様式で、ここから倉敷の町並みを一望できる、隠れた展望スポットにもなっています。

参拝のポイント

境内は随時参拝可能ですが、御朱印やお守りを受けられる授与所は9:00〜17:00までの受付となるため、時間に余裕を持って訪れましょう。美観地区の本町通りから東参道を上る場合、「米寿坂」(88段)・「還暦坂」(61段)・随身門前の「厄除坂」(33段)と続く石段はやや急ですが、いずれも縁起の良い名前が付けられており、上りながら一段ずつの由来を楽しむこともできます。距離は長くなりますが傾斜の緩やかな西参道を選ぶこともでき、途中の絵馬殿からの眺めもあわせて楽しめます。

美観地区の散策とセットで訪れる参拝者が多く、白壁の町並みを一望した後に石段を上って参拝するコースが人気です。駐車場は境内に約15台分ありますが、道が狭いため大型車両では上がれず、観光シーズンや秋の例大祭の際は美観地区周辺の駐車場と徒歩の組み合わせがおすすめです。

年中行事・お祭り

  • 藤まつり(5月3日〜5日):「阿知の藤」の見頃に合わせて開催される祭り。日本一と称される古木の藤を間近に鑑賞できる。
  • 春季例大祭(5月第3土曜・日曜):春を寿ぐ例大祭。
  • 秋季例大祭・御神幸(10月第3日曜とその前日):倉敷総鎮守の秋祭りとして江戸時代から続く例大祭。土曜の夕刻には拝殿での祭典に続き、神輿を車両に乗せて氏子区域を巡る「車両巡行」が、日曜には約200名からなる時代行列が神輿とともに町中約14〜15kmを練り歩く「御神幸」が行われる。じじ・ばばの面をつけた「素隠居(すいんきょ)」がうちわで参拝者の頭を叩いて回る風習も倉敷の秋祭ならではの風物詩。同日には美観地区の商家が屏風を飾る「倉敷屏風祭」も開催される。

周辺のグルメ・観光

  • 倉敷美観地区:阿智神社が鎮座する鶴形山の南麓に広がる、江戸〜明治期の白壁土蔵と倉敷川の柳並木が織りなす日本有数の観光地。参拝の前後にあわせて散策するのが定番のコース。
  • 倉敷川舟流し:美観地区の倉敷川を和舟でめぐる遊覧。水面から眺める白壁の町並みと、山上に鎮座する阿智神社の緑を同時に楽しめる。
  • 大原美術館:美観地区にある日本最初期の西洋近代美術館。倉敷観光の中心的存在で、阿智神社参拝とあわせて訪れる観光客が多い。
  • 倉敷アイビースクエア:明治期の紡績工場を改装した複合施設で、赤レンガと蔦の外観が美しい。阿智神社の東参道からもほど近く、宿泊・食事にも利用できる。

よくある質問

Q. 阿智神社はどんな神社ですか?
A. 倉敷美観地区の北に位置する鶴形山の山頂に鎮座し、美観地区を含む旧倉敷27ヶ町の総鎮守として崇敬されてきた神社です。倉敷の古い地名「阿知」は、応神天皇の時代に朝鮮半島から渡来した阿知使主(あちのおみ)の一族がこの地に住み着いたことに由来するとされ、社地は元々その一族が築いた庭園であったと伝えられています。現在は航海安全を司る宗像三女神(多紀理毘売命・多岐都比売命・市杵嶋比売命)を主祭神としてお祀りしています。
Q. 御朱印はいただけますか?
A. はい、境内の授与所にて9:00〜17:00の受付で、初穂料500円でいただけます(2021年2月より全ての御朱印の初穂料が500円に統一されました)。随身門の兎の彫刻や名物「阿知の藤」をデザインした御朱印帳も授与されています。
Q. 美観地区からのアクセス方法は?
A. 美観地区の本町通りから東参道を上るのが一般的で、「米寿坂」(88段)、「還暦坂」(61段)、随身門前の「厄除坂」(33段)と続く石段はやや急ですが、10〜15分ほどで随身門前の合流地点に到達します。距離は長くなりますが傾斜の緩やかな西参道もあり、こちらは観龍寺の北側を通り、途中の懸造の絵馬殿から倉敷の町並みを見渡せます。JR倉敷駅からは徒歩約15分です。
Q. 駐車場はありますか?
A. 境内東側に参拝者用駐車場が2ヶ所・計約15台分あります。ただし神社へ上がる道は狭く、マイクロバスより大きな車両は通行できないため、大型バスでお越しの場合は美観地区周辺の駐車場から徒歩でお越しください。
Q. 「阿知の藤」とはどんなものですか?いつ見られますか?
A. 本殿北側にある藤棚「阿知の藤」は、あけぼの藤という品種としては日本一の大きさ・古さと言われる古木で、樹齢は300〜500年と伝わり、昭和31年(1956年)に岡山県の天然記念物に指定されています。現在は倉敷市の市花にもなっています。例年4月下旬に見頃を迎え、5月3日〜5日には「藤まつり」が開催されます。

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