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石室神社

石室神社

いろうじんじゃ・静岡県賀茂郡南伊豆町

写真: Yoshiichi / Public Domain

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由緒

石室神社は、伊豆半島最南端の岬・石廊崎(いろうざき)の突端付近、断崖絶壁の岩窟に鎮座する神社です。社伝によれば、文武天皇の御代である大宝元年(701年)の創建と伝わります。当初は観音像と第六天神を安置する堂であったといいますが、奈良時代に修験道の開祖として知られる役小角(えんのおづぬ)が神託を受け、現在の御祭神である伊波例命(いわれのみこと)をお祀りしたのが始まりとされています。

平安時代に編纂された『延喜式神名帳』(927年)には、伊豆国賀茂郡に「伊波例命神社」の名が記されており、石室神社は古くからの由緒を持つ式内社のひとつに数えられます。中世以降は石廊権現(いろうごんげん)・石廊崎権現(いろうざきごんげん)とも呼ばれ、太平洋に面した岬という立地から、海上安全の神として漁業関係者や船乗りたちの篤い信仰を集めてきました。現在の社殿は明治34年(1901年)に再建されたもので、1300年以上にわたって石廊崎の岬を見守り続けています。

なお、石廊崎の突端にはもう一社、熊野神社(旧称・熊野権現)も鎮座しています。かつては同じく海上安全の神として祀られていましたが、後に縁結びの神としても知られるようになり、明治初期の神仏分離を経て熊野神社と改称されました。石室神社と熊野神社は隣接しており、あわせて参拝する人も少なくありません。

断崖に築かれた社殿 ― 伊豆七不思議の帆柱伝説

石室神社の最大の特徴は、その社殿が断崖絶壁の岩窟にそのまま組み込まれるように建てられていることです。石廊崎一帯の岩肌は、かつて海底火山から噴出した溶岩が海水で急速に冷やされてできたもので、そこに染み込んだ塩分が結晶化して岩を内側から壊す「タフォニ」と呼ばれる現象により、蜂の巣のような無数の窪みが刻まれています。石室神社は、この自然が生み出した岩窟の窪みを利用して社殿を築いており、まるで崖に抱かれているかのような、他に類を見ない景観をつくり出しています。

この社殿を支えているのが、伊豆七不思議のひとつに数えられる「石廊権現の帆柱」です。伝承によれば、その昔、播州(現在の兵庫県)浜田港から塩を積んで江戸へ向かっていた千石船が、石廊崎の沖合で嵐に遭遇しました。船主が石廊権現に「帆柱を奉納するので、どうか船を救ってほしい」と祈ったところ、嵐はおさまり、船は無事に江戸へたどり着きました。ところが帰路、誓いをすっかり忘れていた船主が石廊崎の沖に差し掛かると、なぜか船が動かなくなり、天候が急変して再び暴風雨に見舞われます。往路での誓いを思い出した船主が、覚悟を決めて帆柱を斧で切り倒すと、長さ約12mの帆柱はひとりでに波に乗り、高さおよそ30mの断崖を、まるで石廊権現へ自ら供えられるかのように社殿のあたりまで打ち上げられました。それと同時に暴風雨は静まり、船は無事に播州へ帰りついたと伝えられています。

この帆柱は今も社殿の土台として使われ続けており、社殿の床の一部はガラス張りになっているため、参拝者は実際にその太い帆柱を目にすることができます。どのようにしてこれほどの構造物が断崖に築かれたのか、今なお謎めいた雰囲気を漂わせるその姿は、古くから「伊豆七不思議」のひとつとして語り継がれてきました。

テレビでも話題に

石室神社は2026年9月13日、テレビ朝日系「ナニコレ珍百景」(伊豆半島の先っちょで発見!謎の建造物&会社名が不思議な珍百景)にて、「静岡・南伊豆の先っちょ」に佇む「伊豆の七不思議の一つ」「どうやって作られたか分からない謎の建造物」として紹介されました。断崖の岩窟にそのまま建てられたかのような社殿の姿は、番組を通じて全国の視聴者に伝わり、あらためてその存在の珍しさが注目を集めています。もっとも、この社殿は701年創建と伝わる由緒ある古社であり、テレビでの紹介はその長い歴史のごく一部を今の時代に伝えるきっかけに過ぎません。

参拝のポイント

石室神社への参拝は、石廊崎オーシャンパークを起点に、遊歩道を歩いて向かうことになります。オーシャンパークの有料駐車場(普通車500円)に車を停め、そこから徒歩15〜20分ほどで石廊埼灯台や石室神社にたどり着きます。境内自体の参拝時間に制限はありませんが、駐車場を含む施設全体の開園時間は9:00〜16:00で、16時を過ぎると駐車場から車を出せなくなるため、時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。

社務所は10:00〜15:00頃の開設で、御朱印(初穂料300円程度)もこちらでいただけます。ただし常駐ではなく宮司が在社している時間帯に限られるため、確実に御朱印を求めたい場合は事前に電話で在社状況を確認しておくとよいでしょう。断崖沿いの参道は起伏があり、強風時や荒天時は足元が悪くなることもあるため、歩きやすい靴での参拝をおすすめします。

周辺のグルメ・観光

  • 石廊埼灯台:明治4年(1871年)にイギリス人技師ブラントンの設計で建てられた白亜の灯台で、日本の灯台50選のひとつ。石室神社のすぐそばに立ち、太平洋を望む雄大なパノラマが楽しめます。
  • 熊野神社:石廊崎の突端に石室神社と隣接して鎮座する神社。もとは石廊権現とともに海上安全の神として祀られていましたが、後に縁結びの神としても信仰を集めるようになりました。
  • 石廊崎オーシャンパーク:石廊崎観光の拠点となる施設で、駐車場や売店、休憩棟を完備。断崖絶壁の大パノラマを望む展望スポットとしても人気です。

よくある質問

Q. 石室神社の御祭神は?
A. 伊波例命(いわれのみこと)をお祀りしています。社伝では奈良時代に修験道の開祖・役小角が神託を受けてこの神を祀ったのが始まりとされ、平安時代の『延喜式神名帳』にも「伊波例命神社」として記載される、伊豆国の式内社のひとつです。中世以降は石廊権現・石廊崎権現とも呼ばれ、海の安全を守る神として漁業者や船乗りたちから篤く信仰されてきました。
Q. 石室神社が「伊豆七不思議」と呼ばれるのはなぜですか?
A. 石室神社の社殿は、断崖絶壁の岩窟に奉納された千石船の帆柱(長さ約12m)を土台として建てられており、この「石廊権現の帆柱」が伊豆七不思議のひとつに数えられています。伝承によれば、播州(現在の兵庫県)から江戸へ塩を運んでいた千石船が石廊崎沖で嵐に遭い、船主が石廊権現に帆柱の奉納を誓うと無事に江戸へ到着。ところが帰路、誓いを忘れていたために再び船が動かなくなり暴風雨に見舞われ、思い出した船主が帆柱を斧で切り倒すと、帆柱はひとりでに波に乗って約30mの断崖を社殿のあたりまで打ち上げられ、嵐もおさまったといいます。社殿の床の一部はガラス張りになっており、今もこの帆柱を実際に見ることができます。
Q. 石室神社はテレビでも紹介されたそうですが?
A. 2026年9月13日放送のテレビ朝日「ナニコレ珍百景」(伊豆半島の先っちょで発見!謎の建造物&会社名が不思議な珍百景)にて、「静岡・南伊豆の先っちょ」にある「伊豆の七不思議の一つ」「どうやって作られたか分からない謎の建造物」として紹介されました。断崖の岩窟に帆柱を土台として建つ社殿の姿は、初めて見る人にとって驚きの光景であり、多くの視聴者の関心を集めました。
Q. 石室神社の御朱印はいただけますか?
A. 御朱印をいただくことができます。社務所は10:00〜15:00頃開いており、初穂料は300円程度です。ただし常駐ではなく宮司の在社時のみの授与となるため、確実にいただきたい場合は事前に電話で確認することをおすすめします。
Q. 石室神社へのアクセス方法や駐車場は?
A. 伊豆急下田駅から東海バスで約40分「石廊崎オーシャンパーク」下車後、有料駐車場(普通車500円)から遊歩道を徒歩15〜20分ほどです。車の場合は東名沼津ICから国道414号経由で約2時間40分。参拝は石廊崎オーシャンパークの開園時間(9:00〜16:00)内が基本で、16時を過ぎると駐車場から出庫できなくなるため、時間に余裕を持った参拝がおすすめです。

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