由緒
西宮神社の創建年代は定かではありませんが、社伝によれば、鳴尾(現在の西宮市南部)の漁師の網に神像がかかり、これを海に還してもなお引き上がったことから、夢のお告げに従って西へと遷し祀ったのが始まりと伝えられています。文献上は平安時代後期にはすでに「夷社」の名で登場しており、古くから広田神社の南宮として信仰を集めてきました。
中世以降、境内近くの産所村に住んだ傀儡師(くぐつし=人形を操る芸能者)たちが「えびすかき」と呼ばれる人形操りを携えて全国を巡り歩き、えびす様の御神影を配ったことで、庶民の間にえびす信仰が急速に広まりました。江戸時代には四代将軍徳川家綱から御神影札の版権を得て「正一位」の御神影が全国唯一の正式なものと認められ、以後、西宮神社は日本各地に約3,500社を数えるえびす神社の総本社としての地位を確立しました。現在も東の第一殿に蛭児大神(えびす大神)、中央の第二殿に天照大御神・大国主大神、西の第三殿に須佐之男大神を祀り、三殿を渡り廊下でつなぐ「三連春日造」(西宮造り)という全国的にも珍しい様式の本殿が特徴です。
見どころ
表大門は朱塗りであることから「赤門」の通称で親しまれ、桃山建築の遺構として国の重要文化財に指定されています。毎年1月10日の「福男選び」では、この赤門が午前6時に開かれると同時に数千人の参拝者が本殿まで約230メートルを駆け抜ける勇壮な光景が繰り広げられ、全国のニュースでも大きく取り上げられます。
現在の本殿は、寛文3年(1663)に徳川家綱の造営により建てられた旧国宝本殿が昭和20年(1945)の空襲で焼失した後、昭和36年(1961)に元の姿のまま再建されたものです。三棟を相の間で連結した優美な曲線の屋根が並ぶ様子は「西宮造り」とも呼ばれ、令和7年(2025)には東西の翼殿とともに国の登録有形文化財に登録されました。境内には多くのえびす様の使いとされる鯛の像や、江戸時代の力石なども残り、歴史の重みを感じさせてくれます。
参拝のポイント
境内の参拝自体は15〜30分ほどで一巡できますが、表大門をくぐってからまっすぐ本殿へ向かう「走り参り」の道のりを実際に歩いてみると、福男選びの臨場感がより実感できます。御朱印は本殿向かって左手の授与所でいただけ、9時から17時までの受付です。十日えびす期間中は境内が大変な混雑となるため、参拝は朝早い時間帯がおすすめです。
年中行事・お祭り
- 十日えびす(1月9日〜11日):宵えびす・本えびす・残り福の3日間にわたり、商売繁盛を願う約100万人もの参拝者で賑わう、阪神間最大級のお祭りです。
- 開門神事 福男選び(1月10日 本えびす 午前6時):表大門が開くと同時に参拝者が本殿まで一斉に走り、一番から三番までに到着した男性が「福男」として認定される、江戸時代から続くとされる名物神事です。
- 夏えびす(7月頃):一年の折り返しに感謝と後半の商売繁盛を祈願する夏の例祭で、境内には夏らしい彩りの授与品も並びます。
- 例大祭(10月):秋の実りと日頃の御加護に感謝する神社本来の大祭で、氏子地域を挙げての奉納行事が行われます。
- 西宮酒ぐらルネサンス(秋):灘五郷の一角・西宮郷の酒蔵と連携した日本酒イベントの会場にもなり、酒造の神としての一面も伝えています。
周辺のグルメ・観光
- 白鹿記念酒造博物館(酒ミュージアム):灘五郷・西宮郷の老舗蔵元「辰馬本家酒造」が運営する資料館で、日本酒の歴史を学びながら唎き酒も楽しめる、酒どころ西宮ならではのスポットです。
- 白鷹禄水苑:酒蔵の趣を残す施設内でできたての日本酒や仕込み水を使った料理が味わえ、西宮神社からもほど近い散策コースの一つです。
- エビスタ西宮:阪神西宮駅に直結するショッピングモールで、参拝前後の食事や買い物に便利な飲食店・専門店が揃っています。
よくある質問
- Q. 参拝時間は?
- A. 開門時間は季節により4〜8月5:00〜19:00、9月/3月5:00〜18:30、10〜2月5:00〜18:00で、授与所は9:00〜17:00です。
- Q. 御朱印は?
- A. 9:00〜17:00、初穂料300円です。
- Q. 駐車場はありますか?
- A. 境内南西部に参拝者用駐車場がありますが、十日えびすなど祭事期間中は利用できません。
- Q. 「福男選び」とは何ですか?
- A. 毎年1月10日、表大門が開くと同時に参拝者が本殿まで約230メートルを走り、一番から三番までに到着した男性が「福男」に認定される名物神事です。
- Q. アクセス方法は?
- A. 阪神本線「西宮駅」(えびす口)から徒歩約5分です。



