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飛鳥坐神社

飛鳥坐神社

あすかにいますじんじゃ・奈良県高市郡明日香村

写真: 663highland / CC BY-SA 3.0

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由緒

飛鳥坐神社は、奈良県明日香村、日本古代の都・飛鳥の地に鎮座する古社です。創建の年代やその由緒は詳らかではありませんが、『日本書紀』には、大国主神の第一子である事代主神が国譲りの際に八十万の神々を天の高市(あめのたけち、現在の飛鳥の地)に集めて天に昇り、「首渠(ひとごのかみ)」いわゆる統率神として称えられたとする伝承が記されています。同書の天武天皇元年(673年)七月の条には「吾は高市社に居る、名は事代主神」とあり、さらに朱鳥元年(686年)七月には、天武天皇の病気平癒を祈願して朝廷から当社へ幣帛(へいはく)が奉られたことが記録されています。飛鳥時代にはすでに、朝廷から篤い崇敬を受ける神社であったことがうかがえます。

8世紀の祝詞「出雲国造神賀詞(いずものくにのみやつこのかんよごと)」には、事代主命の御魂を宇奈堤に、賀夜奈流美命(かやなるみのみこと)の御魂を飛鳥の神奈備に鎮め、皇室の近き守り神としたとする記述もあります。平安時代初期の天長6年(829年)3月10日には、神託により、それまで鎮座していた神奈備山から同じ高市郡賀美郷内の現在の地(鳥形山)へと遷座したことが『日本紀略』に記されています。この鳥形山は、天照皇大神が伊勢に鎮座されるまで一時祀られた地であることから「元伊勢」とも呼ばれ、境内の奥の社に天照皇大神が祀られています。

平安時代の『延喜式』神名帳(927年)には「飛鳥坐神社四座 並名神大 月次 相嘗 新嘗」と記載され、名神大社として月次祭・新嘗祭に加え、全国の式内社3,132座のうちわずか71座、しかもその中の4座にしか許されなかった相嘗祭(あいなめさい、朝廷が特に尊崇する大社に新米を捧げる祭)にもあずかる、極めて格式高い神社として位置づけられていました。

現在の御祭神は、本社に八重事代主命(やえことしろぬしのみこと)・下照姫命(したてるひめのみこと、御魂の加夜奈流美命とともに「飛鳥神奈備三日女神」の神名で鎮座)・高照光姫命(たかてるひめのみこと)・建御名方命(たけみなかたのみこと)、中の社に大物主神(おおものぬしのかみ)・素戔嗚尊(すさのおのみこと)、奥の社に高皇産霊神(たかみむすびのかみ)・天照皇大神(あまてらすおおみかみ)と、複数の社にわたってお祀りされています。中でも主祭神の八重事代主命は神々を導く統率神として、奥の社の高皇産霊神は「ふさわしきもの同士を結び、産み、育てる」むすびの神様として、それぞれ篤い信仰を集めています。

なお当社には氏子がなく、初代神主・太宗直比古命(たいそうなおひこのみこと)が「大神朝臣飛鳥直(おおみわのあそんあすかのあたい)」の氏姓を賜って以来、「飛鳥」の姓を継ぐ神職の家系によって代々守られてきました。現在の宮司は八十七代目にあたるといいます。

見どころ

境内で参拝者の目を引くのが、鳥居をくぐり石段を登った先、参道の随所に立ち並ぶ「陽石(ようせき)」です。これは立派な陽石を磐代(いわしろ)として山の神をお迎えし、暖かな春の訪れを祈る古来の信仰に基づくもので、安産祈祷で授与される「産石(うぶいし)」の風習とあわせ、当社が子授け・安産・縁結びの神として広く知られる由縁となっています。境内からは二上山・畝傍山・甘樫丘を望むことができ、古の趣をそのままに感じられる景勝の地でもあります。

飛鳥坐神社の名を全国に知らしめているのが、毎年2月第1日曜日に齋行される例祭「おんだ祭」です。西日本三大奇祭の一つに数えられるこの神事は、天狗・お多福・翁・牛が笹(ささら)を手に参道で参拝者を追いかけて叩き回る厄払いに始まり、神楽殿での奉納神事では、田を耕し種をまき田植えをする一連の農耕の所作が演じられます。クライマックスでは天狗とお多福による夫婦和合を模した滑稽な寸劇が演じられ、見物客からは笑いが起こります。神事の後には「福の紙」と呼ばれる紙が撒かれ、これを手にした者は子宝に恵まれるといわれています。稲の生長・豊穣とともに子孫繁栄・子宝・縁結び・成育安全を願う、笑いに満ちながらも古式ゆかしいこの神事は、飛鳥の里ならではの伝統行事として知られています(近年は参集殿の再建工事などの事情により、天狗や翁による所作の一般公開を見合わせる年もあります)。

参拝のポイント

境内はいつでも自由に参拝できますが、御朱印やお守りをいただける社務所・授与所の受付時間は9:00〜17:00です。御朱印は初穂料500円でいただけるほか、おんだ祭が行われる例年2月には天狗とお多福を描いた期間限定の御朱印も授与されます。

最寄りの近鉄「飛鳥駅」からは徒歩で約30分の距離があるため、近鉄「橿原神宮前駅」東口から明日香村内を周遊するバスを利用し、「飛鳥大仏前」バス停で下車して徒歩約3分というルートが便利です。境内には無料の駐車場もあり、車での参拝もしやすい立地です。すぐ隣には、日本最古級の仏像として知られる飛鳥大仏を安置する飛鳥寺があり、あわせて参拝する方が多く見られます。

年中行事・お祭り

  • おんだ祭(2月第1日曜日): 五穀豊穣・子孫繁栄を祈願する当社最大の例祭。西日本三大奇祭の一つとされ、天狗・お多福・翁・牛による厄払いの所作、田植えの農耕儀式、夫婦和合を模した滑稽な寸劇などが奉納される、全国的に知られた奇祭。
  • 夏越の祓(6月30日午後4時より): 半年間の穢れを人形(ひとがた)に託して祓い、茅の輪をくぐって無病息災を祈る神事。
  • 年越の祓(大晦日午後4時より): 新たな年を迎えるにあたり心身を清める、夏越の祓と対をなす神事。
  • 元旦祭(元旦零時より): 一年の始まりを寿ぎ、国家安泰と崇敬者の家内安全・商売繁盛等を祈願する神事。

周辺のグルメ・観光

飛鳥の里は徒歩圏内に古代史ゆかりの史跡が点在する、日本屈指の歴史散策エリアです。

  • 飛鳥寺(飛鳥大仏):飛鳥坐神社のすぐ隣に位置する、日本最古の本格的仏教寺院。推古天皇の時代に蘇我馬子の発願で創建され、日本最古の仏像として知られる「飛鳥大仏」(釈迦如来坐像)を今に伝える。
  • 石舞台古墳:飛鳥坐神社から徒歩圏内にある、蘇我馬子の墓と伝わる日本最大級の横穴式石室古墳。巨石を積み上げた迫力ある姿を間近に見学できる。
  • 甘樫丘:飛鳥の里を一望できる展望地。頂上からは大和三山や飛鳥の集落を見渡すことができ、ハイキングにも人気のスポット。

よくある質問

Q. 御朱印はいただけますか?
A. はい、社務所にて9:00〜17:00の受付(16:00頃までの参拝がおすすめ)で、初穂料500円でいただけます。おんだ祭が行われる例年2月には、天狗とお多福が描かれた期間限定の御朱印も授与されます。
Q. おんだ祭とはどんなお祭りですか?
A. 毎年2月第1日曜日に齋行される、当社を代表する例祭です。西日本三大奇祭の一つに数えられ、天狗・お多福・翁・牛が笹(ささら)で参拝者を追いかけて厄払いをした後、神楽殿にて田を耕し種をまき田植えをする農耕の所作、さらには天狗とお多福による夫婦和合を模した滑稽な寸劇が奉納されます。稲の生長・豊穣とともに、子孫繁栄・子宝・縁結び・成育安全を願う神事として全国的に知られています。近年は参集殿の再建工事などにより一般公開を見合わせる年もあるため、参拝を予定する場合は公式サイトで最新情報をご確認ください。
Q. 境内の陽石(ようせき)とはどんなものですか?
A. 境内の随所に「陽石」と呼ばれる石が祀られています。これは立派な陽石を磐代(いわしろ)として山の神をお迎えし、暖かな春の訪れを祈る古くからの信仰に基づくもので、安産祈祷でお祀りする「産石(うぶいし)」とあわせて、子授け・安産の神として知られる由縁になっています。
Q. アクセス方法は?
A. 近鉄「橿原神宮前駅」東口から明日香村内を周遊するバスに乗り、「飛鳥大仏前」バス停で下車して徒歩約3分です。近鉄「飛鳥駅」からは徒歩で約30分、バスを利用しても20分前後かかるため、橿原神宮前駅からのバスが便利です。
Q. 駐車場はありますか?
A. 境内、鳥居に向かって左手・社務所の手前に無料の駐車場があります。すぐ近くには飛鳥寺(飛鳥大仏)もあり、あわせて参拝・観光する方が多く見られます。

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