神社 The Pantheon神社 The Pantheon
秩父神社

秩父神社

ちちぶじんじゃ・埼玉県秩父市

写真: Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0

写真

由緒

秩父神社の創建は、平安初期の史書『先代旧事本紀』の「国造本紀」にまで遡ります。それによれば、第10代崇神天皇の御代、知知夫国(ちちぶのくに)の初代国造に任命された知知夫彦命が、その祖神にあたる八意思兼命を祀ったのが始まりとされています。八意思兼命は知知夫彦命から数えて十世の祖にあたる神で、知恵・学問・産業・開運の神として知られる神様です。

知知夫国は、後に武蔵国の一部となる以前から独立して栄えていた古代の国であり、秩父神社はその総鎮守として長きにわたり地域の人々の信仰を集めてきました。平安時代には国の記録にもその名が見え、貞観年間には官社としての格式を得たと伝わり、延長5年(927年)に編纂された『延喜式神名帳』にも記載される式内社です。中世以降は「妙見宮」とも呼ばれ、鎌倉時代には北極星・北辰信仰と結びついた天之御中主神が合祀され、武家の崇敬も集めました。

現在の社殿は、天正20年(1592年)に徳川家康の寄進によって造営されたもので、権現造の重厚な建築に施された極彩色の彫刻は、日光東照宮の造営にも携わったとされる名工・左甚五郎らの手によるものと伝えられています。明治以降は近代社格制度のもとで県社、後に国幣小社に列せられ、昭和28年(1953年)には秩父宮雍仁親王が合祀されました。知知夫国の時代から二千年近い歴史を重ねてきたとされる、秩父地方随一の古社です。

見どころ

秩父神社最大の見どころは、本殿の四方を飾る江戸初期の彫刻群です。中でも本殿東側の「つなぎの龍」は、名工・左甚五郎の作と伝わる傑作で、かつて社殿近くの天ヶ池に暴れ龍が住みついた際、この彫刻の下に必ず水たまりができたことから、龍を鎖でつなぎ止めたところ現れなくなったという不思議な伝説が残っています。

本殿北面中央には「北辰の梟」と呼ばれる梟の彫刻があります。体は社殿の正面(南)を向いているのに、顔だけが180度反転して北を向くという珍しい意匠で、これは北極星を神格化した妙見菩薩(天之御中主神)を守護する姿を表しているとされます。動かずして四方を見守るその姿から、「体力・知力を使わずとも物事を見通す」という縁起の良い象徴として親しまれています。

このほか、日光東照宮の「三猿」と同じ左甚五郎の作と伝えられる「お元気三猿」や、子育ての親心を表したとされる「子育て虎」の彫刻も見逃せません。日光の三猿が「見ざる言わざる聞かざる」であるのに対し、秩父神社の三猿は目・口・耳をふさがず生き生きとした表情で彫られており、「困難に立ち向かう積極性」を表すとも言われています。これらの彫刻はいずれも江戸時代の職人技の粋を集めたもので、東京から日帰り圏内でこれほど濃密な彫刻美術に出会える神社は稀有な存在です。

参拝のポイント

拝殿での参拝を終えたら、ぜひ本殿の周囲をゆっくりと一周し、四面に施された彫刻を見比べてみてください。それぞれの彫刻には簡単な解説板が設置されているので、由来を確認しながら見て回ると理解が深まります。特に「つなぎの龍」と「北辰の梟」は方角が異なるため、双方をじっくり見比べるのがおすすめです。

御朱印や御守りを受けられる授与所は8:30〜17:00の受付です。境内は広くはありませんが、七五三や初詣、そして12月の秩父夜祭の時期は多くの参拝者で賑わうため、静かに参拝したい場合は平日の午前中が狙い目です。秩父夜祭当日は境内・参道ともに大変混雑し、交通規制も敷かれるため、事前に公式サイトで最新の交通案内を確認しておくと安心です。

年中行事・お祭り

  • 秩父夜祭(12月2日宵宮・3日大祭):秩父神社の例大祭であり、京都祇園祭・飛騨高山祭と並ぶ「日本三大曳山祭」の一つ。高さ約5〜7m、重さ十数トンの豪華な屋台・笠鉾6基が氏子町内を曳き回され、3日夜には急坂の団子坂を曳き上げるクライマックスと、冬空を彩る花火が見どころ。2016年にユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つに登録された。
  • 例大祭・お田植え祭(4月4日):五穀豊穣を祈願する神事で、秩父地方に春の訪れを告げる行事として親しまれている。
  • 節分祭(2月上旬):一年の無病息災と厄除けを祈願する豆まき神事。
  • 初詣(1月):知知夫国総鎮守として、秩父地方はもとより県内外から多くの参拝者が訪れる、年始最大の賑わいを見せる時期。

周辺のグルメ・観光

  • 秩父まつり会館:秩父神社のすぐそばにあり、実物大の豪華な笠鉾・屋台を常設展示。秩父夜祭を再現した3Dシアターやプロジェクションマッピングも上映され、夜祭を年間通じて体感できる。
  • 番場通り:秩父鉄道御花畑駅から秩父神社へと続く石畳の表参道。大正ロマン漂うレトロな建物が並び、食べ歩きグルメや土産物店が軒を連ねる散策にぴったりの通り。
  • 道の駅ちちぶ(秩父食堂):秩父駅から徒歩5分ほどの道の駅。秩父名物「わらじかつ丼」をはじめ、地元の郷土料理や特産品が味わえる。
  • 秩父今宮神社:「八大龍王宮」とも称される神社で、樹齢1,000年を超える御神木「龍神木」や、秩父最古とされる霊泉「龍神池」があるパワースポット。秩父神社から徒歩圏内で、あわせて参拝する人も多い。

よくある質問

Q. 参拝時間は?
A. 境内の参拝は夏季(3月〜10月頃)は5:00〜20:00、冬季(11月〜2月頃)は6:00〜20:00です。御朱印やお守りを受けられる授与所は8:30〜17:00の受付となります。
Q. 御朱印はいただけますか?
A. はい、授与所にて8:30〜17:00の受付で、初穂料500円からいただけます。「知知夫国総鎮守」の印と「秩父神社」の印が押された御朱印です。
Q. アクセス方法は?
A. 西武鉄道西武秩父線「西武秩父駅」から徒歩約15分、秩父鉄道「秩父駅」からは徒歩約3分と、こちらの方が近くて便利です。車の場合は関越自動車道「花園IC」から約25kmです。
Q. 駐車場はありますか?
A. 境内に無料の駐車場があります。ただし12月2日・3日の秩父夜祭をはじめとする祭礼日や紅葉シーズンの週末は大変混雑するため、周辺の臨時駐車場の利用や公共交通機関でのアクセスがおすすめです。
Q. 秩父夜祭とはどんなお祭りですか?
A. 秩父神社の例大祭で、毎年12月2日(宵宮)・3日(大祭)に行われます。高さ約5〜7m、重さ十数トンにもなる豪華な屋台・笠鉾6基が氏子町内を曳き回され、3日夜には団子坂を曳き上げる勇壮な姿と冬花火が見どころです。京都祇園祭、飛騨高山祭とともに「日本三大曳山祭」に数えられ、2016年には「山・鉾・屋台行事」の一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録されました。

関連する神社