由緒
江田神社は、宮崎県宮崎市阿波岐原町に鎮座する古社で、日本神話における最初の夫婦神である伊邪那岐命(いざなぎのみこと)を主祭神とし、伊邪那美命(いざなみのみこと)を寿永2年(1183年)に合祀して祀っています。創建の年代は詳らかではありませんが、国史における初見は承和4年(837年)の『続日本後紀』で、朝廷から官社に列せられたことが記されています。平安時代の延長5年(927年)に成立した『延喜式』神名帳には、日向国宮崎郡の項に「江田神社」として記載され、式内社に列しました。社伝によれば天延年間(970年頃)には最高位である正一位に叙せられたと伝えられ、古くから日向国を代表する神社のひとつとして篤く崇敬されてきました。
しかし寛文2年(1662年)に発生した日向灘地震とそれに伴う津波により社殿等が被災し、一時は衰微したと伝えられています。近世以降に再興が図られ、明治6年(1873年)には県社に列格しました。現在は神社本庁の包括下にあり、地元では「みそぎ発祥の地」として広く知られ、多くの参拝者を集めています。
見どころ:みそぎ池と伊邪那岐命の禊の伝承
江田神社が全国的に知られる最大の理由は、『古事記』『日本書紀』に記された伊邪那岐命の禊祓(みそぎはらい)の神話にあります。『古事記』には、黄泉の国から命からがら逃げ帰った伊邪那岐命が、その穢れを祓うために「筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原」で禊を行ったと記されており、『日本書紀』にも同様の地名が「檍原(あわきはら)」として伝えられています。江田神社の鎮座地一帯は、古くからこの神話上の霊跡であると社伝で伝承されており、これが現在の「阿波岐原」という地名の由来にもなっています。
境内の北東、隣接する「市民の森」の一角には「御池(みいけ)」と呼ばれる池があり、通称「みそぎ池」として、まさに伊邪那岐命が禊を行った場所であると語り継がれています。神代の頃、この一帯は入江(渚)であったと考えられており、現在も清らかな水をたたえた池のほとりには「みそぎ御殿」と呼ばれる建物が設けられています。なお、記紀神話に登場するこの地名の実際の比定地については古くから諸説があり、江田神社の伝承はあくまで地元に大切に受け継がれてきた由緒である点には留意が必要ですが、それだけにこの地が持つ神話的な重みは大きく、「みそぎ発祥の地」「祝詞発祥の地」として、多くの参拝者や研究者の関心を集め続けています。
見どころ:三貴子(さんきし)御生誕の伝承
伊邪那岐命の禊の物語で特に重要なのが、その最後に誕生したとされる三柱の貴い神々、いわゆる「三貴子(さんきし)」の伝承です。社伝によれば、伊邪那岐命が阿波岐原で禊をした際、左目を洗ったときに天照大御神(あまてらすおおみかみ)、右目を洗ったときに月読命(つくよみのみこと)、鼻を洗ったときに須佐之男命(すさのおのみこと)がそれぞれ誕生したと伝えられています。伊邪那岐命はこの三柱の誕生をことのほか喜び、天照大御神には高天原を、月読命には夜の食国を、須佐之男命には海原を治めるよう命じたと『古事記』は伝えます。
この壮大な神話にちなみ、江田神社の境内には、禊の際に誕生したとされる住吉三神を祀る住吉神社も鎮座しており、当社は「三貴子御生誕の地」としても語られています。日本神話の中でも特に重要な場面の舞台として伝えられていることから、江田神社は数ある「みそぎ」ゆかりの神社の中でも屈指のパワースポットとして紹介されることが多く、神話の世界を身近に感じられる場所として親しまれています。
参拝のポイント
境内参拝は終日可能ですが、御朱印やお守りを受けられる授与所の受付時間はおおむね9:00〜17:00頃です(季節により変動する場合があります)。御朱印の初穂料は300円です。参道沿いには無料駐車場が整備されており、9:30〜15:30頃にはボランティアガイドによる神話や境内の案内を受けられることもあるので、初めて訪れる方にもおすすめです。境内には御神木の大楠(触れると力を授かるといわれる)や、みそぎ池を望む散策路もあり、あわせて訪れることで神話の世界をより深く感じられます。
年中行事・お祭り
- 祈年祭(きねんさい):毎年2月17日に執り行われる、五穀豊穣と国の安寧を祈る祭典。
- 大祓(おおはらえ):毎年6月30日に行われる、半年間の罪穢れを祓う神事。境内では「茅の輪くぐり」の神事も行われ、みそぎ発祥の地にふさわしい神事として親しまれている。
- 例大祭:毎年11月22日に執り行われる、年間で最も重要な祭典。
- 新嘗祭(にいなめさい):毎年11月23日に、その年の収穫に感謝を捧げる祭典。
周辺のグルメ・観光
江田神社が鎮座する阿波岐原町周辺は、宮崎屈指のリゾートエリア「シーガイア」にも近く、参拝とあわせて周辺の観光を楽しむ参拝者も多く見られます。日南海岸方面の鵜戸神宮や青島神社など、日向神話ゆかりの他の神社をめぐる旅の一環として訪れる人も少なくありません。
よくある質問
- Q. 江田神社はどのような神社ですか?ご祭神は?
- A. 江田神社は、宮崎県宮崎市阿波岐原町に鎮座する古社で、日本神話における最初の夫婦神、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)を祀っています(伊邪那美命は寿永2年〈1183年〉の合祀)。国史書『続日本後紀』に承和4年(837年)の記事として登場し、『延喜式』神名帳にも日向国宮崎郡の式内社「江田神社」として記載された、この地域を代表する古社のひとつです。「みそぎ発祥の地」として知られ、夫婦円満・縁結び・厄除けの神社として信仰を集めています。
- Q. 「阿波岐原」「みそぎ池」とはどのような場所ですか?伊邪那岐命の禊の伝承とは?
- A. 『古事記』には伊邪那岐命が黄泉の国から逃れ帰った後、「筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原」で禊祓(みそぎはらい)を行ったと記され、『日本書紀』にも同様の地名が「檍原(あわきはら)」の表記で伝えられています。江田神社の鎮座地一帯は、古くから「日向の橘の小戸の阿波岐原」の霊跡であると社伝で伝承されており、境内の北東にある「御池(みいけ)」(通称・みそぎ池)が、その禊が行われた場所であると語り継がれています。なお、記紀に記されたこの地名の実際の比定地については諸説があり、あくまで江田神社に伝わる由緒・地元の伝承として大切に受け継がれてきたものである点には留意が必要です。
- Q. 天照大神・月読命・須佐之男命はこの地で生まれたのですか?
- A. 社伝によれば、伊邪那岐命が阿波岐原で禊を行った際、左目を洗った時に天照大御神(あまてらすおおみかみ)、右目を洗った時に月読命(つくよみのみこと)、鼻を洗った時に須佐之男命(すさのおのみこと)という三柱の貴い神々(三貴子)が誕生したと伝えられています。江田神社の境内には、この三貴子ゆかりの住吉神社(すみよし三神を祀る)も祀られており、当社は「三貴子御生誕の地」としても語られています。これは記紀神話に基づく壮大な神話的伝承であり、江田神社および地元に古くから伝わる由緒として大切にされているものです。
- Q. 「檍原」と江田神社は同じ場所なのですか?「檍神社」という別の神社があるのですか?
- A. 「檍原(あわきはら)」は『日本書紀』に記された地名の表記のひとつで、『古事記』の「阿波岐原」と同じ場所を指すとされます。江田神社が鎮座する宮崎市阿波岐原町の地名も、この神話上の地名に由来します。現在、この地に「檍神社」という名の独立した神社は確認されておらず、「檍原」はあくまで江田神社の由緒に伝わる古代の地名・伝承地としての呼び名です。なお、宮崎市内には同じく禊の伝承を持つ加江田神社など、関連する社も点在しています。
- Q. 御朱印の受付時間や初穂料、アクセス方法は?
- A. 御朱印は初穂料300円で、授与所の受付時間はおおむね9:00〜17:00頃です(季節により変動する場合があります)。参拝自体は境内であれば終日可能です。アクセスは宮崎交通バスの「江田神社」バス停下車すぐ、車の場合はJR「宮崎駅」から約15〜20分です。参道沿いに無料駐車場があり、9:30〜15:30頃にはボランティアガイドによる神話・境内案内を受けられます。



