由緒
二見興玉神社は、沖合およそ700メートルの海中に鎮まる霊石「興玉神石」を主祭神・猿田彦大神の依り代として遥拝するために創建された神社である。社伝によれば、雄略天皇の時代(5世紀後半)にこの神石の霊験が顕れたのが起源と伝わり、その後、天平年間(729〜749年)には僧・行基がこの地に江寺を建立し、興玉社をその鎮守社として祀ったという。明治時代の神仏分離を経て、明治43年(1910年)、猿田彦大神を祀る興玉社と、伊勢神宮外宮の豊受大神の別名ともされる宇迦乃御魂大神を祀る三宮神社が合祀され、現在の社号「二見興玉神社」に改称された。
古来、二見浦一帯は「禊浜(みそぎはま)」と呼ばれ、伊勢神宮への参拝に先立って人々が汐水を浴び、心身を清め罪穢れを祓う禊(みそぎ)の地として知られてきた。「お伊勢参りは二見から」という言葉が示すとおり、二見浦で心身を清めてから伊勢神宮へ向かう「浜参宮(はまさんぐう)」の慣わしは、現在も多くの参拝者に受け継がれている。すなわち二見興玉神社は、伊勢神宮参拝前の最初の清めの地としての性格を色濃く残す神社である。
見どころ
境内正面の海上に浮かぶ「夫婦岩」は、大小2つの岩が寄り添う姿から、国生みの神である伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)の夫婦を象徴するとされ、夫婦円満や良縁成就を願う参拝者を集める。男岩(高さ約9m)と女岩(高さ約4m)は太さ約35メートルの大注連縄で結ばれており、この注連縄は沖合の興玉神石と、その彼方にある日の大神(太陽)を拝むための鳥居の役割を果たしている。注連縄は年に3回(5月5日・9月5日・12月中旬頃)張り替えられ、木遣り歌や太鼓の演奏を伴う「大注連縄張神事」として行われる。
5月から7月頃にかけては、夫婦岩の間から朝日が昇る光景を見ることができ、特に夏至(6月下旬)前後の晴れた日には、岩の間に富士山と朝日が重なる「ダイヤモンド富士(王冠富士)」が現れることもある、全国有数の日の出スポットとしても知られている。
境内でもうひとつ印象的なのが、無数に置かれた蛙(かえる)の像である。猿田彦大神の神使が蛙とされることに加え、「かえる」の音に「無事に帰る」「貸したものが還る」「若返る」といった意味が掛けられており、願いが叶った参拝者が奉納した蛙の置物が手水舎や境内のあちこちに並んでいる。
参拝のポイント
二見興玉神社は、古くから「お伊勢参りは二見から」と伝えられてきたとおり、伊勢神宮(外宮・内宮)を参拝する前にまず訪れ、心身を清めるのが伝統的な順序とされている。時間に余裕があれば、伊勢神宮を参拝する前にこちらへ立ち寄るのがおすすめである。
境内は24時間参拝可能だが、御守りや御朱印の授与は7:00〜16:45頃(11月〜2月は7:00〜16:15頃)に限られるため、これらを希望する場合は日中の参拝を心がけたい。夫婦岩そのものは日中でも早朝でも眺められるが、日の出を狙う場合は事前に日の出時刻を調べ、余裕を持って参道の「日の出橋」周辺に向かうとよい。
年中行事・お祭り
- 大注連縄張神事(おおしめなわはりしんじ)(5月5日・9月5日・12月中旬): 夫婦岩を結ぶ大注連縄を張り替える神事。木遣り歌や太鼓の演奏とともに、氏子や地元の海女らが参加して行われる。
- 夏至祭(6月中旬〜下旬、夏至前後): 夏至の日の出に合わせ、御来光を拝みながら禊を行う祭事。全国から多くの参拝者が集まる。
- 二見の日限定御朱印(毎月23日): 「ふ(2)み(3)」の語呂合わせにちなみ、昭和初期の古図を復刻した限定御朱印が授与される。
周辺のグルメ・観光
夫婦岩表参道沿いには、伊勢志摩の名物・伊勢うどんや地元の海の幸を味わえる食事処が軒を連ねる。また神社に隣接して水族館やお土産・グルメが楽しめる複合施設もあり、参拝とあわせて観光を楽しめるエリアとなっている。
- 多市屋: 明治10年(1877年)創業、夫婦岩表参道の中程にある老舗食事処。伊勢うどん・貝飯・あおさの赤だしがセットになった名物セット(1,000円)が人気。
- 伊勢シーパラダイス: 二見興玉神社のすぐ隣にある「ゼロ距離水族館」。セイウチやアザラシとのふれあい体験もでき、家族連れの参拝者にも人気。
- 伊勢夫婦岩めおと横丁: 夫婦岩に隣接する屋内型の物産・グルメ施設。伊勢志摩ならではのお土産や食事、体験コーナーが揃う。
よくある質問
- Q. 参拝時間・営業時間は?
- A. 境内は終日参拝可能です。ただし御守り・御朱印などを扱う授与所は7:00〜16:45(11月〜2月は7:00〜16:15)のみの対応となるため、日中の参拝がおすすめです。
- Q. 御朱印はいただけますか?
- A. はい、いただけます。初穂料は300円で、授与所の受付時間は7:00〜16:45(11月〜2月は7:00〜16:15)です。また毎月23日の「二見の日」には、昭和初期に実際に授与されていた御朱印の古図を復刻した限定御朱印(初穂料500円)も授与されます。
- Q. アクセス方法は?
- A. JR参宮線「二見浦駅」から徒歩約15分です。近鉄・JR「伊勢市駅」「宇治山田駅」からは三重交通バスまたはCANばすで「夫婦岩東口」下車、徒歩約5分でも到着できます。車の場合は伊勢自動車道「伊勢二見鳥羽ライン」二見JCTから約3〜5分です。
- Q. 駐車場はありますか?
- A. 神社周辺に無料駐車場が複数あります(二見浦公園駐車場・二見総合駐車場など、周辺全体で計400台以上)。神社にいちばん近い駐車場は繁忙期に混雑しやすいため、少し離れた駐車場の利用がおすすめです。
- Q. 夫婦岩を美しく見るベストシーズン・ベストタイムは?
- A. 5月〜7月頃、夫婦岩の間から朝日が昇る光景を見ることができます。特に夏至(6月下旬)前後の6月中旬〜下旬と6月末〜7月上旬は、条件が揃えば岩の間に富士山と朝日が重なる「ダイヤモンド富士(王冠富士)」が見られることもある貴重な時期です。日の出時刻に合わせて訪れるのがおすすめで、参道の「日の出橋」も人気の撮影スポットです。



