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武蔵神社

武蔵神社

むさしじんじゃ・岡山県美作市

写真: Fildazur / CC BY-SA 4.0

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由緒

武蔵神社は、江戸時代初期の剣豪・宮本武蔵(みやもとむさし、天正12年〈1584年〉頃〜正保2年〈1645年〉)を祭神として祀る神社である。武蔵は二刀を用いる剣術・二天一流(にてんいちりゅう、当初は二刀一流と称し、後年に弟子の寺尾求馬助信行が改称したと伝わる)の開祖として知られ、生涯に60余度に及んだと自ら書き記した数々の決闘で、一度も敗れなかったと伝わる。慶長17年(1612年)、29歳の頃に長門国(現・山口県下関市)の舟島(巌流島)で果たした佐々木小次郎との決闘は、武蔵の名を後世に轟かせた最も著名な一戦である。晩年は肥後熊本藩主・細川忠利に客分として招かれ、金峰山中の霊巌洞にこもって兵法書『五輪書』を書き上げ、正保2年(1645年)5月19日、熊本の地で没した。遺言により甲冑を着せられ、参勤交代の行列を見守れるよう街道沿いに葬られたと伝わり、その墓所は現在の武蔵塚公園(熊本市北区)にある。

武蔵の生誕地については、実は確定した史料がなく、今なお論争が続いている。当社が鎮座するこの美作国宮本(現・岡山県美作市宮本)出身とする説は、文化12年(1815年)成立の地誌『東作誌』に由来し、後年吉川英治の小説『宮本武蔵』が美作説を採用したことで全国的な知名度を得た。一方で、武蔵自身が『五輪書』の冒頭に「生国播磨」と記していることなどから、播磨国(現・兵庫県)出身説を主流とする研究者も多く、揖保郡鵤(いかるが、現・兵庫県揖保郡太子町)の宮本村を生地とする説も有力視されている。武蔵神社は、美作の地に伝わる「郷土の生んだ剣聖」への敬愛から建立された顕彰の社であり、生誕地論争そのものに決着をつけるものではないことを念頭に参拝されたい。

神社そのものの歴史は比較的新しく、昭和46年(1971年)4月、武蔵の遺徳を慕う「武蔵奉賛会」の呼びかけに賛同した全国1300余名からの浄財530万円によって建立された。武蔵生誕地碑から因幡街道を200メートルほど登った、字天王山と呼ばれる地に社殿が建つ。

見どころ

拝殿正面上部に掲げられた「武蔵神社」の額は、彫所芸術の創始者である彫無季(ちょうむき)の手によるものと伝わる。また社頭には、武蔵が好んだという唐の詩人・白居易(白楽天)の詩の一節「寒流帯月澄如鏡(寒流月を帯びて澄むこと鏡の如し)」を刻んだ「戦気の碑」が建てられている。

境内奥の墓域には、武蔵の祖父・平田将監や両親の墓、そして武蔵の墓碑「賢正院玄信二天居士 宮本政名武蔵之碑」が並び、熊本から分骨されたと伝わる遺骨も納められている。すぐ脇には、巌流島の決闘で武蔵に敗れた佐々木小次郎と、生涯を通じて武蔵と刃を交えた60余名を弔う供養塔も立ち、二天一流の道場を継承するフランス・グレイエの武術団体が慰霊に訪れるなど、国境を越えて武蔵を慕う人々の信仰を今に伝えている。

社殿右手の石垣には、自然にハート形となった石があることでも知られ、「恋の勝負にも勝つ」パワースポットとして参拝者の人気を集めている。

参拝のポイント

武蔵神社は無人の神社で、御守りや絵馬の授与、御朱印の申し込みは、徒歩約5分の「武蔵の里大原観光案内所」または境内入口の「たけぞう茶屋」で行う。御朱印は「取次制」となっており、その場では受け取れず、初穂料300円と郵送料100円を納めて後日自宅に郵送してもらう形式である点に留意したい。

生涯無敗と伝わる武蔵にあやかり、スポーツの大会や受験、就職試験など「絶対に負けられない戦い」を控えた参拝者が必勝祈願・合格祈願に訪れることで知られる。武蔵ゆかりの地である「武蔵の里」エリアには、生家跡や産湯の井戸、武蔵資料館なども点在しており、あわせて巡ることで武蔵の生涯への理解がより深まる。

年中行事・お祭り

  • 竹刀感謝祭(2月第3日曜):剣道関係者らが使い古した竹刀に感謝を込めて焚き上げる、武蔵神社ならではの行事。
  • 宮本武蔵まつり:武蔵の里周辺で開催される、武蔵の遺徳を偲ぶ地域の祭事。開催時期など詳細は美作市観光案内所への確認をおすすめする。

周辺のグルメ・観光

武蔵神社の周辺には、宮本武蔵ゆかりの史跡が集まる「武蔵の里」エリアが広がっている。

  • 武蔵の里大原観光案内所:勝守りや絵馬の授与を取り次ぐほか、周辺観光の案内も行う。武蔵ゆかりの品々の展示も見られる。
  • たけぞう茶屋:境内入口にある茶屋で、二刀流にちなんだ「武蔵の二刀流うどん」など、名物料理を味わえる。御朱印の取次も行う。
  • 宮本武蔵生家跡:武蔵が生まれ育ったと伝わる生家の跡地で、産湯に使ったとされる井戸も残る。

よくある質問

Q. 武蔵神社はどんな神社ですか?
A. 『五輪書』の著者であり、二天一流剣術の祖として知られる剣聖・宮本武蔵を祀る神社です。武蔵の生誕地の一つと伝わる岡山県美作市宮本の地に、昭和46年(1971年)、全国の武蔵ファンの浄財によって建立された比較的新しい神社で、生涯無敗と伝わる武蔵にあやかり、必勝祈願や合格祈願に訪れる参拝者で知られています。
Q. 宮本武蔵の生誕地なのですか?
A. 美作市宮本は武蔵の生誕地の有力候補地の一つですが、確定した史料はなく、実際には播磨国(現在の兵庫県)出身説も根強く、今なお論争が続いています。美作説は江戸後期の地誌『東作誌』に由来し、吉川英治の小説『宮本武蔵』で採用されたことで広く知られるようになりました。一方、播磨説は武蔵自身が著した『五輪書』の「生国播磨」という記述を主な根拠としています。武蔵神社は、あくまで美作説の伝承地に建てられた顕彰の社である点をご理解のうえお訪ねください。
Q. 京都の八大神社と武蔵神社は同じですか?
A. いいえ、別の神社です。京都市左京区の八大神社は鎌倉時代の永仁2年(1294年)創建の古社で、素盞嗚命・稲田姫命・八王子命を祀っており、宮本武蔵は祭神ではありません。同社は、武蔵が佐々木小次郎らとの決闘に先立ち一乗寺下り松で対峙した吉岡一門との決闘の際に参拝した(あるいは参拝せず決闘に向かった)という逸話にちなみ、境内に武蔵の銅像が建てられているにすぎません。武蔵を「神様」として祀る神社は、この美作市の武蔵神社です。
Q. 御朱印はいただけますか?
A. はい、いただけます。ただし神社自体は無人のため、隣接する「たけぞう茶屋」で申し込む「取次制」となっており、初穂料300円と郵送料100円(計400円)を納めると、後日自宅に郵送される形式です。その場ですぐに受け取ることはできない点にご注意ください。
Q. アクセス方法は?
A. 智頭急行「宮本武蔵駅」から徒歩約20分です。車の場合は鳥取自動車道「大原IC」から5分、中国自動車道「佐用IC」から20分ほどで、境内前に無料駐車場もあります。

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