由緒
高瀬神社は富山県南砺市高瀬に鎮座する、越中国を代表する古社のひとつです。創建年代は不詳ながら、社伝では大己貴命(大国主命)が北陸平定を終えて出雲へ帰る途中、国魂神として自らの御魂をこの地に鎮め置いたのに始まると伝えられ、一説には第12代景行天皇の御代の鎮座ともいわれます。確実な史料上の初見は奈良時代末、宝亀11年(780年)の『続日本紀』で、「越中国礪波郡高瀬神」が従五位下に叙せられたことが記されています。その後も神階は次々と昇叙され、貞観元年(859年)には正三位にまで達しました。律令時代の越中国でこれほどの高位を得たのは、射水郡の二上神(射水神社)と高瀬神のみであったと伝えられ、当時から屈指の社格を誇っていたことがうかがえます。
延長5年(927年)に成立した『延喜式』神名帳には、越中国礪波郡の式内社として記載され、郡内7座の筆頭に位置づけられています。中世には神仏習合が進み、最盛期には多くの坊院を抱えたと伝わりますが、戦国時代には一向一揆など度重なる兵火により荒廃しました。江戸時代に入ると加賀藩前田家の庇護のもとで再興が進み、明治以降は近代社格制度のもとで県社に、大正12年(1923年)には国幣小社に列せられています。現在の御本殿は、昭和20年(1945年)の終戦後、多くの崇敬者の浄財と情熱によって再建されたものです。
ご祭神
主祭神は大己貴命(大国主命)で、「福の神・縁結びの神」として広く親しまれています。配祀神として、無病息災・延命長寿の神とされる天活玉命と、産業の神とされる五十猛命をお祀りしています。
越中国一宮をめぐって
高瀬神社は古くから「越中国一宮」を称する神社です。『大日本国一宮記』など、一宮を一国一社で記す中世以降の書物の多くは、越中国一宮として高瀬神社の名を挙げています。一方で、『延喜式』に名神大社として記載され、越中国の総鎮守として古くから崇敬を集めてきた射水神社(高岡市)も一宮を称しており、気多神社(高岡市)・雄山神社(立山町)とあわせて、現在も越中国内に一宮を名乗る神社が複数存在する状況が続いています。
この背景には、律令時代から中世にかけての政治的な中心地の移動があるとされます。一説では、当初は二上(射水神社)が一宮であったものが、次第に力をつけた気多神社がこれに代わり、さらに平安時代末に越中国府が礪波郡へ移されたことを契機に、礪波郡に鎮座する高瀬神社が一宮を称するようになったと考えられています。いずれの神社の由緒・社格もそれぞれに史料的な裏付けを持つため、「どちらが正しい一宮か」を一概に決することは難しく、各社がそれぞれの伝承と誇りを受け継いでいるのが実情です。
見どころ
参道には杉の木立が連なり、静謐な空気に包まれています。境内には、大国主命が助けた因幡の白うさぎの神話にちなむ「なでうさぎ」の像があり、自分の体の痛む部分と同じところを撫でると治るとされ、参拝者に親しまれています。国歌「君が代」に詠まれる「さざれ石」や、不要になった茶筅に感謝を捧げる「茶筅塚」も境内の見どころです。井波彫刻を施した功霊殿をはじめ、伊勢神宮外宮から下付された手水舎など、各時代の崇敬の厚さを物語る建造物が点在しています。
年中行事・お祭り
- 例大祭(9月13日):高瀬神社で最も重要な年中行事で、五穀豊穣への感謝と氏子・崇敬者の繁栄を祈願する祭典が執り行われます。
- 献茶祭・茶筅供養:使えなくなった茶筅に感謝を捧げ、お焚き上げを行う祭典。茶道を嗜む人々からの崇敬も集めています。
- 新年初祈祷(1月):新年にあたり、家内安全や商売繁盛などを祈願する参拝者で賑わいます。
参拝のポイント
参拝・御祈祷の受付は9:00〜16:30で、年中無休です。境内には約90台分の無料駐車場があるため、車での参拝が便利ですが、公共交通機関を利用する場合はJR城端線「福野駅」からのバスが頼りになります。杉木立に包まれた参道はゆったりと散策するのに適しており、縁結びのご利益を求めて訪れる参拝者はもちろん、越中国一宮の歴史的な経緯に関心のある方にもおすすめの古社です。
周辺のグルメ・観光
- 井波別院瑞泉寺・木彫刻のまち井波:日本遺産にも認定された「木彫刻のまち」井波の中心的寺院。約200名の彫刻師が受け継ぐ精緻な井波彫刻を間近に見ることができ、職人の工房が並ぶ門前町の散策も楽しめます。
- 世界遺産 五箇山相倉合掌造り集落:「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として1995年に世界遺産登録された茅葺き家屋の集落。高瀬神社からは車でやや距離があるが、南砺市を代表する観光地として知られる。
- 城端(じょうはな)の町並みと善徳寺:「越中の小京都」と呼ばれる門前町。善徳寺を中心に栄えた絹織物の町で、ユネスコ無形文化遺産「城端曳山祭」(毎年5月)でも知られる。JR城端線の終着駅でもある。
よくある質問
- Q. 高瀬神社の御朱印はいただけますか?
- A. はい、社務所にて9:00〜16:30の受付で、初穂料300円でいただけます。年中無休で授与されています。
- Q. 参拝時間と駐車場は?
- A. 参拝・御祈祷の受付は9:00〜16:30で、年中無休です。境内に約90台分の無料駐車場があります。
- Q. 最寄り駅からのアクセス方法は?
- A. JR城端線「福野駅」からバスで約10分、「高瀬神社前」バス停下車後、徒歩約5分です。福野駅から歩く場合は約40分かかります。車の場合は北陸自動車道「砺波IC」または東海北陸自動車道「福光IC」から約15分です。
- Q. 高瀬神社は越中国一宮なのですか?
- A. 高瀬神社は古くから「越中国一宮」を称してきた神社で、『大日本国一宮記』など一宮を一国一社で記す書物の多くが高瀬神社を越中国一宮としています。ただし越中国内には他にも一宮を称える神社(射水神社・気多神社・雄山神社)があり、律令時代の国府の移転や各社の勢力関係の変遷を背景に、現在も複数の神社がそれぞれ一宮を称しているのが実情です。
- Q. ご利益と「なでうさぎ」について教えてください
- A. 主祭神の大己貴命(大国主命)は「福の神・縁結びの神」として知られ、縁結びのほか商売繁盛、五穀豊穣、無病息災、病気平癒などのご利益があるとされます。境内の「なでうさぎ」は、大国主命が助けた因幡の白うさぎの神話にちなむ像で、自分の体の痛いところと同じ部分を撫でると治るとされ、なでた後にうさぎの頭を撫でると幸運を授かるともいわれています。


