由緒
田無神社の創建は正応年間(1288〜1293年、鎌倉時代後期)にまでさかのぼると伝えられています。当初は現在地より北へ約1kmの谷戸(やと)という地の宮山に鎮座し、雨風を司る夫婦神・級津彦命(しなつひこのみこと)と級戸辺命(しなとべのみこと)をお祀りする「尉殿大権現(じょうどのだいごんげん)」と呼ばれていました。
江戸時代に入り、江戸城の増改築に用いる漆喰の原料・石灰を青梅方面から運ぶための街道として青梅街道が整備されると、谷戸にあった住民たちは街道沿いへと移り住み、宿場として栄えていきます。これにともない尉殿大権現も住民とともに遷座し、寛文10年(1670年)頃に現在の田無の地に鎮座しました。
明治5年(1872年)、神仏分離令にともない社名を「田無神社」と改め、大国主命(おおくにぬしのみこと)を合わせてお祀りするようになります。さらに明治43年(1910年)には田無周辺に点在していた近隣5社を合祀し、昭和24年(1949年)には大鳥神社の大鳥大神も遷座されました。現在の本殿は安政5年(1858年)、拝殿は明治8年(1875年)の造営で、江戸時代後期の名工・嶋村俊表による精緻な彫刻がほどこされており、東京都指定有形文化財となっています。
五龍神について
田無神社を全国的に有名にしているのが、中国古来の陰陽五行思想にもとづいて境内に祀られた5体の龍神「五龍神(ごりゅうじん)」です。本殿にお祀りされる尉殿大権現を中心の「金龍神」とし、東西南北にはそれぞれ色の異なる龍神が配置されています。5つの龍神すべてを一つの神社で祀る例は全国でも非常に珍しく、それぞれ異なるご利益を願って多くの参拝者が訪れます。
- 金龍神(中央・本殿):五行思想で中央を司る「土」の気を表す黄金の龍。運気向上・開運招福のご利益があるとされ、五龍神すべての中心的存在です。
- 青龍神(東方):「木」の気を司る東方の守護神。学業や芸事の上達、仕事運の向上にご利益があるとされます。
- 赤龍神(南方):「火」の気を司る南方の守護神。勝負事や目標達成に力を貸すとされ、必勝祈願・成績向上を願う参拝者に人気です。
- 白龍神(西方):「金」の気を司る西方の守護神。金運上昇や良縁成就にご利益があるとされ、縁結びを願う参拝者が特に多く訪れます。
- 黒龍神(北方):「水」の気を司る北方の守護神。健康増進・家内安全のご利益があるとされます。
各龍神には精緻な木彫りの龍像や社が境内各所に配置されており、参拝者はそれぞれの龍神の前で手を合わせながら、自分の願いに合った方角を順にめぐることができます。五龍神をモチーフにした御朱印やお守り、おみくじも頒布されており、カラフルな切り絵御朱印は特に人気を集めています。
見どころ
拝殿前に施された精緻な龍の彫刻は、明治期の彫刻界を代表する嶋村俊表の手によるもので、躍動感あふれるその姿は一見の価値があります。境内を巡りながら五龍神それぞれの社や像を探して歩くのも、田無神社ならではの参拝の楽しみ方です。
また夏には「七夕てるてるトンネル」と呼ばれる、色とりどりの七夕飾りとてるてる坊主が境内を彩る期間限定の装飾が行われ、多くの参拝者や写真愛好家で賑わいます。境内には大きな欅(けやき)や銀杏(いちょう)の木々も茂り、西東京市の天然記念物に指定されている銀杏もあるなど、都市部にありながら緑豊かな環境が保たれています。
参拝のポイント
境内へはいつでも立ち入れますが、御朱印やお守りを受けられる授与所は9:00〜17:00までの受付となるため、時間に余裕を持って訪れるのがおすすめです。本殿を中心に五龍神それぞれの社が東西南北に配置されているため、全てを巡拝するとそれなりに境内を歩くことになります。授与所では五龍神それぞれにちなんだお守りやおみくじも頒布されているので、願い事に合わせて選んでみるとよいでしょう。
西武新宿線「田無駅」から徒歩6分とアクセスも良く、初詣や例大祭の時期は大変混雑するため、静かに参拝したい場合は平日の午前中がおすすめです。
年中行事・お祭り
- 例大祭(例年10月、宵宮・本宮の2日間):田無神社最大のお祭り。宵宮では「龍神神輿」や女神輿が、本宮では本社神輿・子供神輿・大太鼓が田無の街なかを練り歩きます。2026年は10月10日(土・宵宮)、11日(日・本宮)に開催予定です。
- 一楽萬開(いちらくまんかい)(11月23日〜翌年2月3日):次々と福が開けることを願う、田無神社独自の開運祈願の授与行事。
- 節分祭(2月3日頃):厄を祓い福を招く神事。
- 七夕てるてるトンネル(夏季):色とりどりの七夕飾りとてるてる坊主が境内を彩る、期間限定の装飾イベント。
- 初詣(1月):五龍神のパワースポットとして知られ、正月三が日には多くの参拝者で賑わいます。
周辺のグルメ・観光
- スカイタワー西東京(田無タワー):田無神社から徒歩圏内に立つ高さ195mの多目的電波塔。愛称「田無タワー」として親しまれ、夜間のライトアップは東京西部のランドマークとなっています。
- 武蔵野茶房 田無本店:田無駅周辺で評判の甘味処・喫茶店。参拝後にひと休みするのに便利です。
- 多摩六都科学館:世界最大級のプラネタリウムで知られる科学館。家族連れの参拝者にも人気の立ち寄りスポットです。
- 西東京いこいの森公園:緑豊かな広い公園で、散策や子供連れの休憩にも適しています。
よくある質問
- Q. 参拝時間は?
- A. 境内参拝は24時間可能で、社殿の扉は8:00頃に開き17:00過ぎに閉まります。お守り・お札・御朱印をいただける授与所は9:00〜17:00、御祈祷の受付は9:30〜16:00です。
- Q. 御朱印はいただけますか?
- A. はい、授与所にて9:00〜17:00の受付でいただけます。初穂料は通常書体・月参り書体が500円、五龍神や春夏秋冬などの限定書き置きも各500円、カラフルな切り絵御朱印は1,500円です。
- Q. アクセス方法は?
- A. 西武新宿線「田無駅」北口から徒歩6分です。JR中央線「武蔵境駅」からは西武バス、「三鷹駅」からは関東バスでもアクセスできます。
- Q. 駐車場はありますか?
- A. 境内西側に上下2段の立体駐車場(約50台)があり、24時間無料で利用できます。ただし下段は高さ制限2.2mがあり、初詣期間は早朝から満車になるため、公共交通機関の利用もご検討ください。
- Q. 田無神社の五龍神とは何ですか?
- A. 中国の五行思想にもとづき、境内に金・青・赤・白・黒の5体の龍神様をお祀りしているのが田無神社最大の特徴です。中央の金龍神(本殿)は開運招福、東の青龍神は技芸上達、南の赤龍神は必勝祈願、西の白龍神は金運上昇・良縁成就、北の黒龍神は健康・家内安全のご利益があるとされ、五龍すべてが揃って祀られている神社は全国的にも大変珍しいとされています。



