由緒
豊国神社は、貧しい農民の子として生まれながら織田信長に仕えて頭角を現し、ついには天下統一を成し遂げた豊臣秀吉公を祀る神社です。足軽から身を起こし、関白・太政大臣にまで昇り詰めた秀吉の生涯は、日本史上、そして世界的に見てもまれな出世物語として知られています。
慶長3年8月18日(1598年)、秀吉は伏見城で63年の生涯を閉じました。その遺命により、翌慶長4年(1599年)、京都・東山の阿弥陀ヶ峰の中腹に廟所が築かれ、朝廷からは「豊国大明神」の神号が贈られて、秀吉は神として祀られることになりました。創建当初は空前の規模を誇る社殿が造営され、盛大な臨時祭礼も催されたと伝わります。
しかし秀吉の没後、豊臣家の権勢が徳川家康に取って代わられると、豊国神社の運命も暗転します。慶長20年(1615年)、大坂夏の陣で豊臣家が滅亡すると、家康は豊臣家の権威の象徴であったこの神社の解体を図りました。実際には社殿そのものは完全に取り壊されはしなかったものの、秀吉に贈られた神号は剥奪されて神社としては廃絶とされ、修理を行うことも禁じられて、以後200年以上にわたり荒れ果てるままに放置されることになったのです。
長い断絶を経て、豊国神社が再びその姿を取り戻したのは明治時代のことでした。慶応4年(1868年)、大坂に行幸した明治天皇が豊国神社の再興を布告し、明治6年(1873年)には別格官幣社に列格。そして明治13年(1880年)、かつて京の大仏を安置していた方広寺大仏殿の跡地にあたる現在地に社殿が完成し、遷座が行われました。天下人として一時代を築きながら、その死後に一度は歴史の表舞台から姿を消し、明治という新しい時代にふたたび光を当てられた神社なのです。
見どころ
豊国神社最大の見どころは、国宝に指定されている唐門です。伏見城の遺構と伝えられ、二条城を経て南禅寺の塔頭・金地院に移された後、明治時代の豊国神社再興にあたってこの地に移築されました。前後を唐破風、側面を入母屋造とする四脚門で、桃山時代の気風を伝える雄大で豪放な蟇股や彫刻が施されており、西本願寺・大徳寺の唐門と並んで「国宝三唐門」の一つに数えられています。
境内の大部分は、かつて豊臣秀吉が建立した方広寺の寺域でした。明治政府による収公を経て豊国神社の境内地となったもので、参道の敷石には方広寺大仏殿の床石材が転用されています。現在も隣接する方広寺には、徳川家康が豊臣家攻撃の口実としたとされる「国家安康・君臣豊楽」の銘文で知られる梵鐘が残されており、秀吉を祀る豊国神社と、豊臣家滅亡のきっかけとなった鐘を伝える方広寺が、境内を接して並び立っているのです。
参拝のポイント
境内参拝はいつでも自由に行えますが、宝物館(拝観料500円)は9:00〜16:30の公開です。御朱印も同じ時間帯に社務所でいただくことができ、初穂料は500円です。境内には有料駐車場(30分150円、約15台)がありますが、満車の際は徒歩約3分の京都国立博物館前駐車場が利用できます。すぐ近くには京都国立博物館や三十三間堂もあり、あわせて拝観する参拝者が多く見られます。
年中行事・お祭り
- 例祭・献茶祭(9月18日・19日):祭神・豊臣秀吉の命日にちなむ年に一度の例大祭。招待者以外は祭典への参列はできませんが、唐門前からは舞楽奉納の様子を見ることができます。献茶祭では薮内宗家家元による濃茶・薄茶の奉献が行われ、境内の茶室「豊秀舎」や書院では自由参加の茶席も設けられます。18日には境内でフリーマーケットも催されます。
周辺のグルメ・観光
よくある質問
- Q. 豊国神社の参拝時間・拝観料は?
- A. 境内参拝は自由です。宝物館の拝観時間は9:00〜16:30で、拝観料は500円です。
- Q. 御朱印はいただけますか?
- A. 社務所にて9:00〜16:30の受付、初穂料は500円です。
- Q. 駐車場はありますか?
- A. 境内に有料駐車場があります(30分150円、約15台)。満車の場合は徒歩約3分の京都国立博物館前駐車場が利用できます。
- Q. 豊国神社へのアクセス方法は?
- A. 市バス「博物館三十三間堂前」下車徒歩約5分、または京阪電車「七条駅」から徒歩約10分です。
- Q. 大阪城にある「豊國神社」とは別の神社ですか?
- A. はい、別の神社です。大阪城の豊國神社(ほうこくじんじゃ、旧字体で表記)は、明治12年(1879年)に京都の豊国神社の大阪別社として創建され、大正10年(1921年)に独立した神社です。京都の豊国神社が豊臣秀吉公のみを祀るのに対し、大阪の豊國神社は秀吉公に加えてその子・豊臣秀頼公と弟・豊臣秀長公も配祀しており、読み方も京都は訓読みで「とよくに」、大阪は音読みで「ほうこく」と異なります。名古屋・長浜など全国各地にも同名の神社がありますが、本社にあたるのは京都のこの神社です。



