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潮嶽神社

潮嶽神社

うしおだけじんじゃ・宮崎県日南市北郷町

写真: z tanuki / CC BY 3.0

写真

由緒

潮嶽神社は、宮崎県日南市北郷町の山あいに鎮座する古社です。社伝によれば、神武天皇の御代の創建と伝わりますが、正確な年代は明らかになっていません。御祭神は火闌降命(ほのすそりのみこと)で、「海幸山幸(うみさちやまさち)」神話における兄・海幸彦(うみさちひこ)にあたります。

『古事記』『日本書紀』が伝える神話では、海幸彦は弟の山幸彦(彦火火出見尊)と釣針・弓矢を交換しますが、山幸彦は借りた釣針を海で失くしてしまいます。探し出した釣針を持ち帰った山幸彦との争いに敗れた海幸彦は、潮の満ち引きを操る力を持つ弟に屈服し、その守護を誓ったと伝えられています。潮嶽神社の社伝では、この後、海幸彦は堅牢な船に乗り、潮の満ちるままにこの地へ流れ着いて住んだとされ、それにちなんで「潮嶽(うしおだけ)」の地名が生まれたと伝わります。境内には彦火火出見尊(山幸彦)・火明命もあわせて祀られていますが、本殿の主祭神として海幸彦(火闌降命)を祀るのは全国でも潮嶽神社のみとされ、隼人族の祖神・海上安全や大漁満足の神として古くから崇敬を集めてきました。近隣の鵜戸神宮(日南市)が弟・山幸彦の子である鸕鶿草葺不合尊を祀るのに対し、潮嶽神社は敗れた兄・海幸彦その人を主役として祀る、神話のもう一つの側面を伝える貴重な存在です。

現在の本殿は天保3年(1832年頃)、飫肥藩主・伊東家の寄進により造営されたもので、伊東家の家紋(梅鉢・九曜)を掲げ、流造の屋根に極彩色の装飾と精緻な唐獅子の彫刻を施した、地方の古社としては見応えのある社殿です。拝殿は明治32年(1899年)の再建と伝わります。明治5年(1872年)には周辺の六社を合祀し、社名を「潮嶽大権現」から「潮嶽神社」に改めました。

見どころ・言い伝え

海幸彦にまつわる伝承は境内の外にも点在しています。神社から西へ約1.5kmの「大塚古墳」は、海幸彦(火闌降命)の墓と伝わる古墳で、明治初年に一度荒らされた後、地元の人々によって祠が建てられ、以来禁足地として大切に守られてきました。また、海幸彦が潮に乗って流れ着き上陸したと伝わる「賢所(かしこどころ)」には御神木が茂り、木を伐ると祟りがあるとして今も手つかずのまま残されています。神社北側の森に伝わる「饗塚(きょうづか、潮高座)」は、大正初期まで里芋を供えて八百万の神々を饗応する神事が営まれていた場所と伝えられています。

地元にはこの神話にちなむ独特の風習も残っており、海幸彦・山幸彦の釣針をめぐる争いの故事にちなんで、この地域では針の貸し借りを忌む風習が伝わっています。また子供の初宮参りの際に額へ赤い文字で「犬」と書く習わしがあり、海幸彦の子孫とされる隼人が朝廷に仕えた際、吠える声で邪気を祓ったとする伝承に由来するとされています。

社殿には飫肥藩伊東家寄進による極彩色の装飾と唐獅子の彫刻が随所に施されており、地方の小社ながら見応えのある意匠です。境内左手には歴代氏子の祖霊を祀る祖霊社も鎮座しています。

参拝のポイント

社殿までは石段を上る参道が続きますが、境内自体は自由に参拝でき拝観料もかかりません。御朱印は一の鳥居をくぐってすぐ左手の社務所でいただけますが、宮司が常駐しているわけではないため、遠方から訪れる場合は電話(0987-55-3252)で在・不在を確認しておくと安心です。授与所での御朱印帳の頒布も行われることがあります。

日南市中心部や鵜戸神宮方面からはやや離れた山あいの立地のため、レンタカーなど車での訪問が現実的です。周辺道路は山道を含むため、時間に余裕を持って向かうとよいでしょう。

年中行事・お祭り

  • 春季大祭(2月11日):「潮嶽神楽」が奉納され、境内には御祭神の名を記した十四本の御幣が立てられます。神楽に先立ち「福種子下ろし」の神事が行われ、マグロ・カツオ・イノシシ肉を供えたのち、豊作・大漁・狩猟成就を祈る「魚釣り舞」などが夜を徹して奉納されます。
  • 秋季大祭(11月第2日曜):日南市指定無形民俗文化財の「潮嶽の獅子舞」と、地元の少女4人が榊と扇を手に舞う「みこ舞」が奉納されます。みこ舞は神武天皇がこの地を離れる際の別れの様子を伝えるとされ、『続日本紀』の古歌が今も歌い継がれています。

周辺のグルメ・観光

  • 道の駅きたごう:2023年10月にオープンした日南市北郷町の道の駅。地元で水揚げされたカツオ料理や窯焼きピザが味わえるほか、九州最大級のインクルーシブ遊具エリアもあり、家族連れの参拝にも立ち寄りやすいスポットです。
  • 猪八重渓谷:北郷町の山中に広がる渓谷で、清流と豊かな原生林が織りなす渓谷美が魅力。夏は避暑、秋は紅葉を楽しめる隠れた景勝地です。
  • 鵜戸神宮:車で日南海岸方面へ向かった先にある、弟・山幸彦の子(鸕鶿草葺不合尊)を祀る名社。同じ「海幸山幸」神話にゆかりの深い両社をあわせて巡る参拝者も見られます。

よくある質問

Q. 潮嶽神社はどんな神社ですか?
A. 「海幸山幸(海幸彦・山幸彦)」神話で兄・海幸彦とされる火闌降命(ほのすそりのみこと)を主祭神として本殿にお祀りする、全国でも珍しい神社です。神話に敗れた海幸彦が、この地に流れ着いて住んだという伝承が残っています。
Q. 御朱印はいただけますか?
A. 社務所にて8:00〜17:00の間、初穂料500円でいただけます。ただし宮司常駐の神社ではないため社務所が不在の場合があり、遠方から参拝される方は事前にお電話(0987-55-3252)で確認されることをおすすめします。
Q. アクセス方法は?
A. JR日南線「北郷駅」から車・タクシーで約8分、宮崎自動車道「田野IC」からは車で約18kmです。宮崎交通バス北郷線「下宿野」バス停からは徒歩約1分ですが本数が少ないため、車でのアクセスが現実的です。
Q. 駐車場はありますか?
A. 境内に約20台分の無料駐車場があります。
Q. お祭りはいつ行われますか?
A. 2月11日の春季大祭では「潮嶽神楽」の魚釣り舞などが奉納され、11月第2日曜の秋季大祭では日南市指定無形民俗文化財の「潮嶽の獅子舞」と「みこ舞」が奉納されます。

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